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  • 執筆者の写真西留安雄

授業備品 NO.157(2021.4.17)一人の教師が全学級に入り、学習スタンダードの定着を図る

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 この3月に、文部科学省による高等学校の教科書の検定が終わった。高等学校がいよいよ新たな「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)の形式の授業に入る。多くの教科書に課題を調べて考える「探究学習」を重視した内容に変わる。どの教科書にも探究学習のコーナーがある。課題(問い)を立て、調べて自分の考えをまとめ振り返る学びだ。

 学習指導要領の総則に記載されてあることをもとに、教科書も設計されている。大学共通テストも探究学習の場面を問題文に盛り込まれている。これまでの教師の講義型の「一方通行」の授業を変えることが大きな狙いだ。これで高等学校の授業が変わればよい。だが、先行して学習指導要領をもとにした小中学校の授業を見てもまだまだ教師中心の授業が多い。教師が主体的で難解な板書をする授業等をよしとする授業文化があるからだ。高等学校も、即、生徒が主体な授業を行わなければならないが、そううまくいくとは限らない。だが、変わらなければならない。それは、教師自身だ。指導者だ。その高等学校は、新教科書を使う授業まで1年しかない。文部科学省や教育委員会からの授業改善の指示をされてから動くのでは遅い。学校自身が探究的な学習が指導できる専門的な教師をどこまで増やせるかがカギとなる。

 今回、紹介する沖縄県南城市立佐敷小学校は、授業改善が完成形に近くなってきた。「学習スタンダード」が定着してきている。教師の前向きな学習スタンダードの取り組みが子どもたちの目の輝きになってきた。とにかく、沖縄に行くのが楽しい。子どもたちが教師を頼らず、自分たちで進める授業があるからだ。とりわけ、「授業が分からない仲間を誰一人見捨てることなく子どもたちが進めていく授業」が多い。訪問当初より、授業アンケートの数値がよい方向に上がっていると聞き、「うんうん」と喜んでいる。保護者も同じだろう。先生方がついてきてくれたことに感謝しかない。

全国の多くの学校は、私が指導したことを全教師が自分に落とし込み授業を行っている。そのため、前向きに学習スタンダードに取り組む教師と、なかなかうまく取り入れられない教師に分かれる。この解決方法が「佐敷小方式」だ。佐敷小学校ならではの独特の方法だ。全国でも稀なことだ。それは、具志堅先生が、まず学習スタンダードを習得後、全学級の授業に週1時間入っている。具志堅先生が全学級の授業を行うため、教師も子どもたちも具体的に学ぶことができる。わずか1コマだが、具体的に学び方を学ぶため、全学級に学習スタンダードの定着が早かった。本年度から取り組む学校は、「佐敷小方式」をぜひ参考にしていただきたい。

 具体的な進め方は、まず全教師で、ブログ「西留安雄の教育実践」の中から「2019版学習過程スタンダード38(教師用)を取り出していただき,子どもたちと一緒に授業づくりを行っていただきたい。教師が学ぶということも大事にしなくてはならないが、何よりも子どもたちが学び方を身につけることが重要だ。佐敷小には、高知県での実践授業のCDを送り参考にしていただいた。子どもと教師が一緒になり観ることが大切だ。子どもたちにとって真に主体的な授業となるために「学習リーダー」も置いた。このことで教材研究をしてくる子どもも出てきた.その後は、「進化型学習スタンダード」に移るとよい。これもブログに入っているので利用していただきたい。佐敷小も本年度は、この進化型に研究の重点を置かれると思う。

 佐敷小の若い教師がみるみるうちに授業力が向上している。また、よくお話しをする教師の口数も減った。それと比例して子どもたちが創る授業がだんだん増えてきた。これは、佐敷小では、教師の自分流のやり方で授業をすることが減ったからだ。それぞれの教師が自分流でのやり方の授業をまず横に置き、学校全体で進める授業に向き合ったからだと思う。授業の組み立てやシラバスも自分の判断で決めるのではなく、同僚と協議し授業を創っていく。要は、同じ学年の先生、同じような単元の授業は、誰が担当しても授業方法は同じとなった。

 教師一人ひとりには個性がある。この個性が授業の成立を大きく左右してきた。ここに改善点を見出した。佐敷小の先生方の授業は、ほとんど同じような授業スタイルのため子供たちへの指導の仕方も一貫している。だから子どもたちに同質の授業を展開できていると思う。教師の個性の発揮は、これができてからだろう。

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