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執筆者の写真西留安雄

授業備品 NO.165(2021.7.25)「世界からアクティブ・ラーニングを学ぶ」

PDF版(クリックで表示されます。)


 今回は、原田信之(編著)「カリキュラム・マネジメントと授業の質保証」北大路書房を熟読し、その内容をご紹介します。大阪教育大学大学院連合教職実践研究科教授の田村知子先生から贈呈本がありました。


 2004年には、「アクティブ・ラーニングと個別学習に関する研究プロジェクト」を開始。2004年の建国式典でリー・シェロン首相が述べた言葉が、アクティブ・ラーニングの研究の出発点となったと思う。それは、教えを少なく、学びを多くの方針だ。「暗記学習を減らし、彼らに探求や発見のゆとりを与える。また、教員もゆとりを得ることで考え、振り返り、子供たちに最善の方法を見つけ出して質の高い結果を導くことができる。私たちは子供たちに教えることを少なくし、彼らがより学ぶようにしていかなければならない。成績は重要であり、試験に合格する努力を怠ってはならない。だが成績だけが人生の全てではない。学校で学ぶべき人生の事例は他にもある。」


*2004年から開始したシンガポールと2019年から始めた日本の違い。日本の遅れが気になる。


2 香港

 2000年「香港教育制度改革建議」。それをもとにした香港政府教育局の教育課程の改善は、まず教科を廃止し、領域ごとに教育課程の指針、教育方策と内容、評価を明示した。子供の資質・能力を明確にさせ、授業の教授・学習の効果を上げるための多様な方策、方法を用いる。そして各学校は、学び方を習得させる。教師の教育方法の改善を図る。探求力を重視する課題学習すなわち「問題発見・解決的型学習」を進める。批判的な思考力、創造力及びコミュニケーション能力を優先的に育て、各学習領域で有効な教育方法と内容の開発を行う。


*問題発見・解決的な学習方法が行われている。日本より早く教授型に課題を感じた当局から学ぶことが多い。


3 フィンランド

 自国の学力低下の原因を時代遅れの授業スタイルと教育方法に帰するものが多く見られたと分析をしている。フィンランドの授業スタイルが「保守的」で「時代遅れ」とする批判は、国際学力調査の陰に隠れていただけであり、以前からなされていたものであると受け止められている。教員に求められるスキルとして、①教員は未来志向で多才で革新的な専門家であり、多様な学習環境を活用することができる ②教員は、開発する勇気、実行する勇気を備えている ③教員は、新しいイノベーションを導入する力や自らの行動を変える力を備えている


*ここから学ぶことは、授業スタイルが「保守的」で「時代遅れ」であることに気づき、イノベーティブな授業改善を進めていることだ。


4 フランス

 共通基礎というスタンダードや、それに対応する全国学力テストが作られてきたものの、そこで産出されたエビデンスに基づく学校としてのチームとしての授業改善はほとんど見られないという。一人で教育を完結する意志が強い。教科の専門家として養成されている意識、教育方法の自由が確固たるものとして存在しているようだ。


*フランス特有の教育方法が重要視されている背景があり、解決すべき課題がまだまだ多いようだ。


5 ドイツ

 2003年頃、国共通の教育スタンダードの導入が議決されている。教育の質の保証のパラダイム転換である。その後、ナショナルテストがあり教育スタンダードに基づく多性状況の調査を行っている。また、ローカルテストでは、授業開発のための診断データ調査がある。データをデータとして終わらせていない。


*授業改善にテストを活かしているところが参考になる。データ活用の仕掛けに日本も学ぶところは多い。


6 イギリス

 イギリスでは、ナショナル・カリキュラム(学習指導要領)と評価が一体となっている。これは、学校と国レベルの中央行政機関とのつながりが強いからである。この一体となった評価が授業改善の根拠とされている。どの教員も常にナショナル・カリキュラムに目を通して指導や教材開発を行っている。


学習指導要領より教科書に目を向ける日本の教員との違いがある。ぜひ学びたいところだ。


◎ALで授業を変えているのが世界だ。これまでの授業を繰り返す日本は、まず指導者層が遅れに気付くべきだ。

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