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佐喜浜小 竹村 和男
スタンダード学習の実践者が集い合うネットワークが、出版会社「ぎょうせい」様のご尽力によって結成されることになった。待望の全国的な組織化である。
西留先生が初めて書かれた著書「学びを起こす授業改革」が出版されてからもう久しい。その間、スタンダード学習は高知県をはじめ、全国各地にじわじわと広がり、ここにきてこのような全国組織の立ち上げに至った。
教育には「不易と流行」がある。新しい教育法や教育理論の中で広く支持を得続けたものの中には、エッセンスが一般化され、教科書に掲載されるものもあるが、ほとんどは時代の変化とともに、流行で終わってしまう。
ではスタンダード学習はこの先どういう風な道を歩むのであろうか。私は、これまでの広がり方や「学習は子 どもが持つ大きな権利・主体者は子ども・そして全員活躍型、探究的な学習スタンス」という基本的な考え方か ら想像して、これは残るだけでなく、今後の学習理論の中心として存在し続け、現場の先生方に支持され続けると予想している。また海外にも広がっていくだろうと考えている。
ではなぜそう思うのか。私はこの理由を以下の3点にまとめてみた。
1 児童主体・全員参加型の授業を行うための具体的な手立てが明示されている
2 学校で学ぶ・家庭で学ぶ・そして生涯にわたって学ぶ流れが意識できる 3 自分たちで学びを深めることができるためのステップが明示されている ※深い学びに向かうためのセルフレッスンの提唱
皆さんはどう考えられますか。 でも私はこれにあと一つ下記のことを加えたい。それは、それぞれの地域や学校の実態に応じて、応用が可能 (オリジナル化)という点である。 私のふるさと高知には「よさこい祭り」という日本全国に広がった踊り(イベント)がある。これは1954 年(昭和29年)高知商工会議所青年団が中心となって、徳島の阿波踊りに対抗して開いた祭りにおいて披露さ れ、今に至っているお祭りである。その中でメインとなっているのが、「よさこい」。地方車(じかたしゃ)と呼 ばれるトラックに PA 機器を搭載し、踊り子がその後ろに連なってよさこい踊りを舞い、各演舞場を順番に回っ ていく華やかでにぎやかなお祭りである。 この踊りが高知発祥後に全国に広がったのには、次の理由が大きいと言われている。
一 基本がシンプル・・・・「正調よさこい」は、老若男女問わず簡単に覚えられる 二 原曲を作った武政栄策氏が楽曲の自由なアレンジを許したため、色々なバリエーション で踊ることができている。 (きまりは次の4つ 1鳴子が必要2土佐のー・・・のメインメロディーが必要3地方車が必要4前進)
三 衣装のアレンジも自由
スタンダード学習も、基本形は決まっている。子どもの学びが深まるためには、必ず通ってほしい流れが決め られている。しかし、ゴールまでの辿り方には、その地域その学級その教科そしてその担任や子どもたちの実態 に応じて、アレンジ・オリジナル化が可能である。これゆえ、スタンダード学習法は、「よさこい祭り」同様、 消えることはないと考える。これからも広がり続けるであろう。その拠点となるのが、今回立ち上げられた「ス タンダード学習ネットワーク」である。 「教師も自分で考える。」そして成果が出れば、より一層教育が楽しくなる。子どもも勉強が楽しくなる
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