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執筆者の写真西留安雄

授業備品 NO.193(2022.8.20)自立と自信

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 授業備品188号で、授業の課題について述べた。では、あらためて授業での教師の役割について考えてみよう。

 新たな学びを追求する世界の国(オランダ、シンガポール、アメリカ等)も、授業の在り方を変えてきている。背景には、デジタル社会があるが、教師(大人)の指示に従うだけの授業では、学力も生きる力も付きにくいという考え方に気付いたからだ。それを考えると教師の授業での立つ位置も変わると思う。


1 「自立」を促す授業

 188号で、教師に子供主体の授業を求めたら、「基礎基本の習得が必要」「授業規律が重要」「教師が教えるのが授業」との返答があったと記述した。これでは、これまでの教師の授業の域から抜け出せない。子供は成長しない。子供がいつまでも教師を頼るからだ。そこで、教師が授業を通して子供に「自立」を促すことが重要だ。

 その方法として、「学習スタンダード」がある。私たちは、それを「先生に頼らず、自分たちで学ぶ学習」として位置づけ定着を図ってきた。教師を頼らない学び方の詳細が記述してあるので、子供たちの学び方の習得も早い。教師が指示しなくても次の行動が出来る。つまり、子供が教師から「自立」をしているからだ。授業で子供の目が輝いているのは、教師ではなく子供が授業をけん引しているからだと思う。

 次に「学びの交流」の方法だ。これは、東京での自校での実践だ。学年を超えて学ぶ方法を開発した。異学年交流の学びだ。教育課程は変えず、異学年で学ぶ。家庭科ではミシンの使い方を6年生が5年生に教える、4年生が3年生に習字道具の使い方を教える、6年生と1年生の合同体育。およそ45通りの学びの交流を行った。もちろん、子供たち同士で進める授業だ。この実践だけでも学校は大きく変わった。この学びの交流の準備は、ほとんどいらないので、子供も教師もゆとりがあったと思う。

 ある県で行われている(実験校)、「自由進度学習」は、学びの交流をより進化したものだ。「自由進度学習」は、日本にはなかった。オランダではすでに行われているようだ。先生の話を聞くだけの従来型の授業とは違う。それぞれの計画表に基づき、それぞれ自分自身のペースで学びを進めている。子供たちは、「先生の指示を待たなくてもいいのでうれしい」とその良さを話しているようだ。保護者もプラス評価をしていると聞く。

 「学習スタンダード」「学びの交流」「自由進度学習」等は、何よりも子供が学びにおいて教師から自立していることが特長だ。そこで、授業は教師が行うといった考え方から、学習を子供たち自身で行うことに変える。そうすれば、様々な面においてよい結果はついてくると思う。


2 「自信」を持たせる

 これまで、子供が主体的に楽しそうに学ぶ姿を見た教師たちは、教師主体の授業観から大きく変わったと話す。さらに、「子供たちにもっと学びを委ねよう」と考えるようになっていくようだ。それは、子供の学ぶ姿が教師を頼ってくることが減ったと気付くからだ。

板書も自分たちで行う。全員がホワイトボードやタブレットで自分たちのペースで学ぶ。分からないところは、ペア・班・ワールドカフェ等で相談して学ぶ。座る学習の常識をなくす。こうした、学び方により子供たち全員が学びに「自信」を持てるようになる。話し方も小声ではない。説明をノートに順序よく書き話す。こうした方法を繰り返すことにより、子供が授業の活動において「自信」を持つようになる。子供の成長につながるのは確かだ。

教師が子供に学びを委ねると、真剣に取り組まなくなるという教師の狭い視野の考え方はなくなり、自分自身の指導方法を見直すと思う。


3 教師自身が変わる

 子供が自立する授業のためには、研究授業を教師が魅せるような方法を止めよう。学習指導案作成方法も変えよう。それには、新しいことに挑戦する、いやしなければならない教師集団になろう。授業で自立を促し、学ぶことに自信を持つ子供を育てるには、自分自身が変わるしかないからだ。なかなか変わらない変えようとしない授業は、教師自身が自分の進化を止めていることに気付いて欲しい。


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