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今話題の「ナナメウエ」という会社。16億円の資金調達に成功して、ネット上に「Yay!」を展開。Z世代(注 参照)を中心に支持を得ているベンチャー企業の一つである。そして現在「Yay!」は「圧倒的に素が出せるSNS」として人気を集めており、多くのユーザーが日常的に利用する熱狂的なバーチャルワールドとなっている。
その会社を設立し、けん引しているリーダーが、石濱崇博氏。青山学院大学に在学中にロサンゼルスに海外留学。そしてそこで「スタートアップはかっこいい」という文化や価値観に触れ、AirbnbやDropbox、Githubが飛躍的に成長している様子を肌で感じた。大学4年生のときに仲間と「ナナメウエ」を立ち上げ、請負でクライアントのモバイルアプリを開発しつつ、自社ブランドのアプリも開発するようになった。これが今の会社のスタートとなる。
私は、Z世代からは遠く離れている。
だから、このバーチャルコミュニティへの参加する勇気も語学力も高い意識もない。しかし、私たちの目の前にいる子どもたちの将来は、このZ世代がさらに進化した世代になることは間違いないと考える。
時代がこのように変わっているのである。コロナ禍のここ3年間、外出自粛と人と人との交流制限に苦しめられた中、この変化のスピードは加速度的に上がっていったことは万人が認めるところである。新学習指導要領の完全実施からまだ3年ほどしか経っていないのであるが、もうこれが古く感じてしまいがちになる今日である。では、ここから先私たち教育者が、子どもたちに伝え、教え、学ばせていきたいことは、何だろうか。
何が大切か。新学習指導要領で示された3つの柱は、もう今や当たり前になってきている。それを超えて必要なもの。その中でも特に大事なこと、その答えにつながることを、「ナナメウエ」の石濱社長が、私たちに示唆してくださっている。
1 英語力
これからの時代は、人や物の流通だけでなく、他国の方々とネット上で、出会い、語り合い、協働していくことが普通になってくる。この時のツールは英語。しかも自分の考えを堂々と話せる英会話力が要求される。石濱社長も大学時代は英語の勉強に集中し、語学力を高めたと言われている。
2 ICT操作能力(パソコンスキル・プログラミングの基礎知識)
パソコンを使うプラス面マイナス面が討論されていても、もうこれらがなくては世の中が動かない時代である。好むと好まざるに関わらずに次世代社会には、ICT操作能力がノートに文字を書くのと同じぐらい普通の基礎基本能力になる。
3 人と人とのつながりを築き、学び合える人間関係力
「人と人との出会いのカタチは広がっている一方で、心が通じ合う人とつながることは、まだまだ難しいものです。私たちは、より良い人間関係をアルゴリズムによって科学し、「出会うべき人に出会える機会」を届けていきます。」(石濱社長)
石濱社長は「Yay!」を立ち上げ、そのバーチャルワールドに今後トークンエコノミーを形成し、インセンティブ構造を作り込んでいくと宣言している。そして、利用者がサービス運営に直接関与することができるWEB3時代の新しい居場所を生み出すことにも挑戦していくそうである、ユーザーがよりよい人たちとの出会いを求め、求めることそのものも楽しむとともに、自分たちのソサイエティをより高い幸せ空間にしていく。そしてそのバーチャル空間の価値を高めることで利益も得ていくというコンセプトの根底にあるのは、やはりしっかりした知識や経験に裏打ちされたコミュニケーション能力と言えよう。
西留先生が小学校教育に求めているスタンダード授業の基本は、考えたことや気づいたことをアウトプットインプットし合って、練り上げ、よりよい解を見つけていくという学習スタイルである。これは「ナナメウエ」が目指す道と酷似している。
スタンダード授業の習得は、未来社会Web3.0世代の働き方や生き方にも通じると言える。現実の学習経験が、より広い世界での出会いや学習に生かされる。近未来主流になるであろうバーチャルワールドにおいて、はじき出されることのない力を子どもたちにつけさせてあげることも、私たちに課せられた課題である。
(注)Z世代とは・・・
Z世代の語源・由来はアメリカから伝わってきました。世代分類を指す言葉です。広がったのはアメリカの「ジェネレーションZ」から来ていて、そこからZ世代という言葉で日本国内で広がりました。読み方はそのまま「ゼット世代」です。年齢は明確に定義されていませんが、「1990年半ばから2010年代生まれの世代」を指すことが一般的です。(実年齢としては、大体2021年現在で考えると25歳以下の若い世代を指すことが多い)
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