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「自ら学ぶ」をねらいとした学習指導要領
・平成29年 主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング(学び方)
・平成20年 主体的に学習に取り組む態度、思考力・判断力・表現力を育む
・平成10年 自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断する子の育成
・平成元年 自ら意欲の育成や思考力・判断力の育成を図る
・令和6年ころ「個別最適な学習」と「協働的な学び」等の「学び方」を身に付ける内容が予想される
学習指導要領を読み込むと「自ら学び考え判断する力(自学力)」が、30年以上前から掲載されていることが分かる。過去から「自主的な学習力」の推進が学習指導要領に記載されてきた。今次の学習指導要領から、「学び方の育成」へと変わりつつある。次期学習指導要領は、中央教育審議会ワーキンググループの会議を読み解くと、明らかに海外で行われている「学び方(アクティブ・ラーニング、イエナプラン)」等の個別最適な学習や協働的な学びへと移行すると思う。
つらい思いをしている子がいないか。
いまだに教師主導の授業が行われ、子供たちを苦しめている授業を見る。目の前の子供たちが楽しそうにしていればいい。しかし、つらい思いをしている子がいる。ぜひ確かめて欲しい。改めてこのような授業が行われている背景は「なぜか」を考えて見た。最も課題と感じたことは、教師の「観」が変わらないことだ。授業観、学力観、子供観等の「観」の転換が出来ていない。
原因は、教師自身が自らの経験知に縛られ、子供たちに柔軟に対応できていないからだ。長年、一斉型の授業しか見たことがない。主に教科書の内容を教えることの受験型の授業が当たり前と思い込んでいる。学習指導要領は、「自ら学ぶ」「アクティブ・ラーニング」等への転換を求めてきているが、そうした考えに沿う授業をやったことがないと思われる。
過去の授業スタイル
①知識・技能を中心とした内容を形式的に説明。教師が発問し、分かっている子が挙手をする。発問と断片的な応答。教師が応答の内容を板書し、解説をする一斉授業。
②( )の中の内容を問う虫食いのワークシートや板書。
③展開内容を知らせない、見通しを立てない等の教師主導の一斉授業。
④記述内容の見える化がない。グループ授業がなく、全体での学習内容の構造化を図っていない授業。
⑤子供の声が聞こえない。教師の声が中心の解説型一斉授業。
⑥思考力や記述力を育てようとしていない授業。
⑦分かる子が授業の中心で、その子の考えついた発言を板書する。
⑧挙手・氏名・発表を中心にして、教科書の内容を教える授業。
⑨全員参加型授業ではないため、学習が面白くない子がいる。寝る、違うことをする子供がいる。
➉座学の授業で、子供が受け身の授業。
10の視点で授業を観よう。かつての授業観から、下記の令和の型の授業改革へと歩むことの重要性を理解していただきたい。
解決方法は、「学習スタンダード」「アクティブ・ラーニング」
「授業は生もの」と感じるときがある。それは、子供たち全員が授業に参加し、能動的に取り組む授業の時だ。そのために「学習スタンダード」を開発した。それは、全教科、全教師が、問題解決的な授業の一定の進め方を校内で共通化する方法だ。この学習スタンダードを進めていく当初は、ある程度の「型」を学ぶことになる。だが、やがて教師や子供の熟練度に応じて進化する形式へと進む。
アクティブ・ラーニングは学習指導要領にも2012年の頃から掲載が呼びかけられ、現在の学習指導要領となった。前述した教師の一方的な講義形式型の授業と異なり、子供たちの能動的な動きがある授業だ。アクティブ・ラーニングスタイル授業の延長線上にあるのが、「個別最適な学習」である。個別最適な学習の個別とは、一人一人が学習を自分の学び方で行うことと理解している。個性とは、独創的な発想を個人個人がもつ。個人とは、個人として確立され、それが全体学習へとつながることだと思う。
学びのスタイルが定着すると、やがては子供たち全員が「自らの考えを説明できる」ことに行き着く。学習指導要領の「自ら学ぶ」「学び方を身に付ける」等のねらいに沿うことにもなる。
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