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目指すは家庭学習につながるスタンダード授業
佐喜浜小学校 竹村和男
Q「この楽しい遊び感覚のアクティブラーニングに挑戦しているのですが、まだまだです。一部の学校でしかできない授業なのでしょうか」 |
A1 「まさに、スタンダード授業は、遊び感覚の授業です。そういう雰囲気の中で繰り広げられるフリートーク授業が理想なのです。学びの基本は独学です。これはスポーツも同じ、技量アップの基礎基本は、個人練習であるし、自主練習であります。これはイチローも大谷も語っています。遊び感覚の楽しい授業で、「新たな発見」ができるこの授業スタイルはやはり大事であると私は思います。これをきっかけに、学ぶことがより楽しくなる、もっと学びたくなる、そういう子どもたちに育てていきたいと思っています。学校全体で取り組めば、すぐにできるようになります。」 |
A2 アクティブラーニングのメインは、コミュニケーション力鍛錬のおしゃべり授業なのです。独学発見事象の自慢ごっこタイムなのです。情報収集スキルラーニングタイムです。そして、発見・発想・発案を自覚でき、学びを心から楽しむ時間なのであります。学力アップには欠かせない学習スタイルであると確信しています。しかし、独学(一人学び)も非常に重要です。他から抜きんでたり、追いついたりするには、秘密特訓が入ります。それに向かってがんばりたいというきっかけづくりや持続的な刺激には、周りの評価が不可欠です。だからこそ、スタンダード授業が、学校での学びの基本スタイルであると思います。子どもたちにこう語れば、納得してもらえるのではないでしょうか。 |
上記はスタンダード授業について、都内の高校の先生とラインで語り合った一部分です。Aは、私の個人的な見解です。スタンダード授業が全国に広がり始めて、10年以上が過ぎました。進化は止まりません。一人学びととも学びと考察・まとめふりかえりが授業の中心であることに、疑念を挟む方は、もうほとんどおられないと思います。
当初は、肩の張ったスタンダード授業も今やフリートーク型の気軽な授業スタイルに変化してきました。それによって、令和になって急速に進んだICT教育へも順応し、さらに活用範囲が広がっています。子どもの考えを引き出すには、その子に情報活用能力が必要です。その情報活用の中心は、人と話すことのできる力、そして聞く力「コミュニケーション能力」です。
このコミュニケーションの相手は、日本国内には限りません。いずれはそうなるだろう日本のダイバーシティー化を考えると英会話力の習得も必須です。海外旅行のための英会話ではなく、暮らしのための英会話力の向上が迫れています。そして新たに次から次へと出てくるAIや情報端末の操作スキル能力です。学校はこの双方に目を向けなければなりません。これらは今までの画一的な学校で対応できるでしょうか。
昭和型教育の良さは充分理解しつつも、変革が遅れている日本です。そのつけはかならず子どもたちの世代に回っています。これは残酷な真実の1つです。子どもの立場を考え、代弁する役目を担っているのが私たち教師です。このスタンダード授業に、取り組んでみませんか。ここが令和型教育のスタート地点であると私は思っています。「善は急げ」です。
また、A1で申しましたとおり、学力向上には、基礎学力といわれる力が不可欠です。それがついていないと、いくらすばらしい学びの環境を与えても、そのすばらしさが理解できずに、素通りしてしまいます。そういう子どもたち大人たちをたくさん見てきました。ネット内では「子どもの学力調査の結果は、そこに住む大人たちの学力調査の結果とも言える」などと語られている昨今です。その課題を克服していくためには、先生の指導力アップと同様、その周りにいる大人たちの学びの環境づくりも重要であります。
その成否が一番見られるのが家庭学習の提出状況や取り組み状況です。だからこそ、このスタンダード授業の成否も授業時間だけではなく、家庭学習も含めた学びが向上しているかを見なければなりません。そこで佐喜浜小学校は今年度、家庭学習につながるスタンダード授業を行ってもらいたい、ということを願った研究目標にしています。それが「地力をつけ、見通しを持ち、主体的に学び合う子どもを育てる」です。そのために必要なのは何はさておき、学校のリーダーである校長や教職員の力量です。地力のある校長・教職員集団こそが、このいただきに到達できるのです。私自身こそ、日々修行、日々鍛錬、そして日々熟考です。
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