top of page
執筆者の写真西留安雄

授業備品 NO.234(2023.8.29)「真に個別最適な学びへ」

PDF版(クリックで表示されます。)


 2030年度から新しい学習指導要領が始まる。GIGAスクール構想で1人1台端末など情報通信技術(ICT)環境が一気に充実したことを背景に、これまで同一年齢の子どもを一つの教室で学ばせることが基本だった学校の在り方がより柔軟になる。ICTによる時代の変化があまりにも大きいからだ。さて、予定通りに学習指導要領の改訂が進むだろうか。

 私たちは、子どもたち全員に、「学校は楽しい所」と思えるように、学習スタンダードによる全員活躍型の学びを行ってきた。併せて、従来の教科の縦割り指導、教科書を一斉指導でこなすことへの対応も考えてきた。全国から成果が出ていると報告がある。

 一方、学習指導要領が変わっても、教科の指導方法が変わらない現状も見ている。一斉授業、教科書をこなす、教師の指導型の教材研究等が理由だろう。学習指導要領は変わるだろう。だが、ここで思いきって教師中心型の授業を変えないと授業は全く変わらないと思う。

 さて、文部科学省は、2000年頃に衰退していた「個別化された学び」について探求しているようだ。個別化された学びは、一斉画一的な、没個性的とは反対に、一人ひとりの子どもの興味関心や必要感に根ざした個別的で個性的な学習の機会を保障することである。「個に応じた指導」「個別最適された学び」へと連なる動きである。


 令和2年7月27日、教育課程部会資料1「個別最適化された学びについて」(上智大学 奈須正裕先生)

7.今後に備えるための5つの論点

 第1は、個別化された学びに対しては、学力の低下や格差を生み出すという目標論なり学力論である。・完全習得学習の考え方に立てば、単に学習集団を和変えるだけの対処はそもそもナンセンスであり、習熟度別に分けたそれぞれの集団の学習適正に最適された教材なり指導方法が提供されるのが原則である。

 第2は、個別化によって生じる個人間での進度の差をどのように考えるかである。

 第3は、個別化された学びが暗黙裡に想定している学習論への自覚である。学校に個別化された学びをどのように導入していくべきかであるかは、ある種の試金石にもなりうる。

 第4に、個別化された学びの在り方に関する様々な意思決定、とりわけ最適化の判断を誰がどのように行うかが重要である。

 第5に、個別化された学びの展開に不可欠な教材をどのように現場に提供していくか、その体制づくりを巡る問題である。個別化・個性化教育は一時期かなりの拡がりと充実を見せたが、その困難としたものの1つに、教材を巡る我が国ならではの状況がある。我が国では「主たる教材」としての教科書の実践への影響力が、よくもわるくも高い。その教科書は教師による学級単位での一斉指導を前提に編纂されているため、そのままでは個別化された学びには用いることができず、学校や教師は別途での教材開発を余儀なくされる。

 ・教科書の在り方を巡っては、すべてのページを前から順番に指導することを暗黙の前提とするのではなく、個々の教師が生み出すカリキュラムに即して適宜利活用する。

 ・また、アメリカなどではパッケージ化された教材やカリキュラムが豊富に存在し、各学校で多少のアレンジを施すにしても、これらを大いに参考にすることができる。地域によっては、教育センターに様々な教材パッケージが常備されており、学校からの電話1本で職員が届けてくれるといったサービスさえ存在していた。今後、個別化された学びを推進する上で、このことは重要な課題となってこよう。


 以上のように、「個別最適な学び」が前面に出てくると思う。よいことだと思う。その準備のためにいくつかの授業法則を変える必要がある。①教師より子どもを授業の前面に出す ②教科書を前から順番に指導せず、あくまでも教材とする ③異学年の学びを入れる ④学校のリーダーは今の日本の学校改革に感心をもち、確実にその施策を進めていく ④教材パッケージについて学ぶ とにかく過去の授業観に戻ってはならない。そのためにも学校独自で新たな学び方の開発を行うとよい。

閲覧数:206回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page