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  • 執筆者の写真西留安雄

授業備品 NO.237(2023.10.17)「協働的な学びの連続」最高の授業!

更新日:2023年10月30日

PDF版(クリックで表示されます。)


 不登校の子供が29万人。この数値がまだ上がるか心配だ。「教育」が十分に機能していないのではないかにたどり着く。とても責任を感じる。教育システムの見直しが必要だと思う。

 授業を観ても、あまりにも「こうあるべき」という形式がこれまで強すぎたと思う。(一斉指導、教師主導、従来からの教科教育)これでは、子供たちは学び方(授業方法)を選べない。授業は教師主体で進めるものではないので子どもたちの声(主体的な授業をしたい!)を目標にして日々の授業を変えるとよい。

 私たちは、学習指導要領総則を何度も読み、指導要領に沿う子供が主体的な学び(アクティブ・ラーニング)を開発してきた。一人ひとりが主体的に学び方を選び、みんなかつやく(中津の表現)する授業である。

 はじめて出会う教師は、まずは、こうした授業方法を疑問視する。しかし、多くの方が子どもの意欲がみなぎる授業を参観し、胸中が複雑になるのを見てきた。学び方(現状)が単一ではなく、新たな学びを目の前にするからだ。

 今回は、中学校の授業では、最高レベルの授業に出会い高揚感がいっぱいになった。全国の皆さんに観ていただきたかった。私のイチオシの授業を紙面でご紹介する。令和6年1月26日(金)にも神奈川県横須賀市立長沢中学校を訪問する。ぜひ、参観をしていただきたい。


協働的な学びの連続(横須賀市立長沢中学校F教諭(数学中2))

1 生徒が主体的に進める授業

 令和5年10月19日に行われたF教諭の数学の授業を紹介する。この日の授業は、「基本的な授業の性質」「既習の基本的な平面図形の性質の知識・技能を用いて、星形七角形の内角の和を求め、根拠を持って説明をすることが出来る」ことがねらいであった。

 授業前の準備(学習リーダーが司会、進行、ヒント出し役) 

 黒板には、教科リーダーが書いた問題が書いてあった。横には、円が3つ。課題を書く欄があった。Chromebookも同じような様式。キーワードは、あえて未記入。教科リーダーとF教諭の打ち合わせが済んでいた。教科リーダーは事前に家庭学習やF教諭の助言から解答を知り授業に望んでいる。

 授業

 まず始めの挨拶「おねがいします」。F教諭は、黒板の前には立たなかった。黒板横が定位置のようだ。生徒の主体性を日々意識しているからであろう。教科リーダー(以後KR)による「まずは一人ぶつぶつから近くの人と前の授業の振り返りをしてください」のアナウンス。全員、席を立ち前後の仲間と振り返り席に着く。KRから、「今日の問いを声に出して読んでください(円周上に7つの点を取り、その点を結んで出来る図形の角の和を求めよう)」と。全員が読み終えると、KRが「黒板の問題を四角囲み。今日の課題をクラスに問うと、あちこちから課題について発言。その言葉を拾い、KRが「7つの点を結んで出来る図形の内角の和求めるには・・・」と板書。もうひとりのKRが「みんなで声を出して読みましょう」の合図。声を揃えて一斉に2回読む。すでに備品で述べてきたが、課題づくりに時間をかけず、解決活動に時間を置くことが実践されていることが理解できた。次にKRが今日のまとめの書き出し(7つの点を結んで出来る図形の内角の和をもとめるには)を板書。さらにKRから「今日の見通しのキーワードを回りの人相談して下さい」のアナウンス。「分かった人は発表してください」。「内角の和、ブーメラン形、対頂角」の声が出て、KRが短冊に記入。もう一人のKRが「この3点のキーワードを参考にして解いて下さい」と伝える。

 まずは「ミニ問題(隣同士の点を結んで出来る図形の内角の和について考えよう)」。一人で考え(3分)、ワークシートに記入。自力解決が短いことに感動。これでよい。2~3分後にKRが板書してある円の7つの点を結びに行く。数分後KRから「周りの人と3分間して下さいの声」。全員が立ち、何人かと情報の共有。4人で集まる、2人でと様々。その後KRが(180(n(7)-2)で=900となりますと説明。生徒から自然に拍手。とにかく生徒の顔が柔らかい。

 そして本題である「7つの点について、1つ飛ばしの点を結んで出来る図形の内角の和について考えて見ましょう」へ。個人学びでした内容を班(5人)の大きなホワイトボードの中で各自が主張。問題を解けない生徒は、仲間に聞きながら解決活動に参加。


(1)解決活動の柔軟化

 ホワイトボードに記入している最中に、KRは、板書の円の点の一つ飛ばしを記入。星形の図形となった。KRの事前の教材研究(予習)が素晴らしい。教室内では、ワイワイと声を出しながら班活動が進む。数学を苦手な生徒も周りの仲間の考えを参考にしている。数学の授業の極意は、難しい問題を自力解決に時間をかけず、理科の実験のように仲間でワイワイと演習をしていくことが重要であることを改めて学んだ。備品で解決活動の柔軟化を述べてきた通り、自力解決で生徒を追い込まないようにしたいものだ。

 解決活動は、「自力解決」→「ペアや班の活動での交流」→「班や中グループでの考察(越知ゼミナールや三色マーカー方式(三原中))」→「全体での考察」→「まとめ」の流れが基本である。だが、学び方の開発を進めていく中で、解決活動の柔軟化に行き着いた。課題が難しい場合は、「班活動」から入る方法があり、最後に「自力

解決」に行き着けばよい。この方法が子どもたちには優しい学びである。解決活動に順番はない。


(2)生徒への支援は、机間指導が一番

 なお、指導者の支援方法の良さが見られた。教科リーダーが司会進行することにより、教師は支援者に回れる。ヒントカードや生徒個々が使いやすいワークシートを作成する方法がこれまで多かった。体育の鉄棒の逆上がりでは、教師の「手」が最大の支援である。この方法と同じように、KRに授業の進行や板書を任せれば、教師は支援者に回れる。このことをF教諭から学んだ。


2 ゴールにみんなで到着する授業(協働的な学びの連続)

K R同士は、板書をしてある図形で解き方を相談していた。班のホワイトボードの内容は、真ん中に大きな図形が書いてあり、その周りに自分の考えを書いていた。マーカーは全員が持っており、みんなかつやくが見えた。その後、「作業を一旦止め、板書を見てください」「解き方のヒントを説明します」「作業を5分間続けてください」とアナウンス。多くの班が立ったまま相談して解決を続ける。3人で考えている生徒もいれば、2人で真剣に考えている生徒もいる。

 ここから考察に入るが一斉指導型とは大きく違う。長沢中名物であろう。KRが

「〇〇さんの班に集まってください」と指示。

① 1回目の集合。A班に集まると同時に、班の説明を全員が受ける。A班の説明者は2人であった。

② 2回目の班に集合。KRの「次に〇〇班の所に集まってください」。「私たちが考えたのは・・・・」。拍手あり。

KRの「二つの班の意見を参考にして、もう一度班に戻り、相談して課題を解決

してください。」生徒は自分の班に戻る。ここから、数学の得意な子が他の班から呼ばれる。「うちらの班にD君来て!」その声を聞きD君が行き解き方を説明。中には、「F教先生来て!」との声もあった。

④ 3回目の集合。KRの「〇〇さんの班に集まってください」。全員が集合。遠くから聞く生徒もあれば、近くで聞く生徒もいた。

⑤ KRの「もう一度自分たちの班に戻り、解決して下さい。」生徒は自分の班に戻る。同時に生徒から「L君来て」の指名がある。その班にL君は行き説明。各班では白熱した議論が交わされていた。F教諭は、各班を回り温かい目で見守る。KRの二人は、黒板に図形を書いている。数学の得意な子は自発的に各班を回り助言。教科リーダーの良さを再度発見。教師を頼らず、生徒同士が対話を重ねた深い学びとなっていた。

⑥ KRの「黒板を見てください。L君、説明をお願いします。数学の得意な生徒に見えたL君が説明。その後拍手あり。

⑦ その説明を聞いて、各班は再度、対話を重ねながら課題を解決していく。中には、L君の周りに集まり、板書をしながら議論を深めていく生徒もいた。こうした生徒同士の対話を重ねる時間が多い。

⑧ チャイムが鳴ると同時にKRが「あと1分間で班のまとめをしてください」。

⑨ KRの「ホワイトボードの写真を撮っておいてください。まとめと振り返りはとくにしなくてもいいです」。

⑩ 号令「これで終わります、礼」。だが、ここで終わらない。授業が終わっても、

まだまだ班での議論が白熱。学びが途切れなかった。この授業でのF教諭の発言は一切なし。見事な授業に拍手。長沢中の多くの授業を観て感じるのは、生徒同士の対話をしている時の笑顔がいい。また、教師が生徒を対等な目で見て、人格を尊重しているのが素晴らしい。


3 情報を共有しながらゴールを目指す

 担任をしている時にほほえましい水泳に出合っている。子どもたちの25メートルタイムを計った時のことである。当時はスイミングクラブもなく、全員が自己流の水泳方法であった。泳法は特に問わなかったのでゴールにたどり着く方法は、いろいろあった。その方法を思い出し、名前を付けてみた。

A=一直線選手 B=迷いながらの一直線選手 C=方向違い選手 D=先が分からない選手

 考えて見ると、一直線選手が評価できるとは限らない。短時間にゴールにはたどり着くが、他の方法の良さが子ども自身で評価できないからだ。B選手のように、迷いながらも時間をかけてゴールにたどり着く方法が次に活かされると思う。C選手やD選手は、事前の支援の方法が行き届いていなかったと反省。

 さて、F教諭の授業を図にしてみる。

これまでお話ししてきたように「解決活動の柔軟化」がよく出 ていた。難しい問題はや課題は、子どもたちは一人で解くことは出来ない。そこで自力解決を短くし、出来るだけ班や数人で話し合いながら解決方法を見つけようとした。

 その時の約束がある。ホワイトボードの初期には、自分の考えを回りに書き、中心に「みんなの創意」を書く方法である。常に自分の考えを出し合い議論をするには最善の策である。この方法が今回も使われていた。ホワイトボードの良さが活かされていた。

 その後は、班の考えを出し合い、全体考察に行くことが初期の段階の学び合いだ。だが、進化型スタンダードでは、先に進んでいる班の考えを聞きに行く方法が主となっている。今回は、班内で考えを迷いながら議論し、途中で解決の手立てを聞く方法が3回とられた。また、学習リーダーが事前に予習をしてきているので数回のヒント出しが解決活動に役に立ったと思う。

 迷いながらみんなでゴールに向かう生徒が自然体で授業に参加をしているのが印象となった。授業終了後に「解決を続けたい」というグループがたくさんあり、授業の素晴らしさに気付いた。この授業(数学)は、どの教科にも参考になる。私の手元にCDがあるので、必要な方はご連絡をいただきたい。笑顔いっぱいの中学生の当たり前の姿を見て頂きたい。


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