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年の暮れ。慌ただしい中に自分を振り返るよい機会だ。いろいろあり、言葉では言い尽くされない方もいるだろう。だが、大変なことは永くは続かない。自分を信じて、先を見て対応すれば、案外うまくいくと思う。
本年も日本各地をまわらせていただいた。指導校は学習スタンダードに対応して、子供が授業を創ることが出来ている。子供たちの笑顔も溢れている。
だが、初めて訪問する学校の授業では、教師がよくしゃべっている。分かる子だけが挙手をして授業が進む。子供たち全員の笑顔は見られない。こうした授業をなくすために学習指導要領を改訂してきたはずだが、まだまだ成果はあらわれていないと思う。学習指導要領総則にアクティブ・ラーニングが前面に出てよかったと思ったが、いざ授業となると教科の「見方・考え方」が正面に出るため、学習指導要領改訂前の授業が続いている。
その過程で見えたのは、授業の常識だ。予備校や学習塾と同じように教師がひたすら説明。分かる子に挙手を求め、その子の考えを褒め授業が進む。学習が理解できない子供は、何をすればよいか分からない。結局は教室にいるだけ。座学中心で子供はひたすら聞くという常識。こうしたことは教師が教えることが当たり前という常識からきていると思う。どこか間違えていると思う。
学校に行って、児童が授業の中で身に付けられる能力が先生次第でかなり左右されると感じました。座学中心で教える先生がいて、「子供が一人で考える」「子供対先生」のような授業もありました。そのクラスはある程度、力のある子供たちが多かったので授業は成り立っていました。ですが能力の厳しい子供に対しては、教育の質の担保ができているのかと疑問を感じました。
学習スタンダードを使うと、分からない子供に仲間が教えるということもできます。一人で考えられるヒントも見つけることができます。また、子どもたち全員が能力差も関係なく活躍することが可能です。授業中に子供の活き活きとした顔が、将来、私が創る授業だと感じました。
(令和5年秋の研究会、学生の感想)
研究授業を見た学生は、学習スタンダードを学んでいる。そのため座学の課題を見つけることができた。現場に立つ私たち教師は、その学生に学ぼう。学生に指摘される前に自らの課題に気付こう。
未来リレー型学習スタンダード
学習スタンダードの改訂も3回目となる。最初は、「問題解決的な学習」の方法を学んだ。2回目は、考察方法の仕方についての多くの方法を知った。3回目となる「未来リレー型学習スタンダード」は、問題解決学習の段階を柔軟に扱う学び方の指導方法の改訂となる。一斉学習色を少なくする。異学年で学びをたくさん取り入れる。セルフ授業も取り入れる。未来リレー型学習スタンダードが定着すると、また、新たな学び方の開発の必要性に気付き、また開発へ向かう。これまでに見たことのない「景色」が見えるだろう。
学習スタンダード(ベーシック)の研究者・研究校増へ
不登校の児童生徒の数が驚くべき数値が出ている。不登校は、子供本人の問題ととらえられているようだが、それだけではないと思う。実は、授業の在り方が不登校に大きく影響していると思う。それは、私たちが進めてきた学習スタンダードの良さを知っているからこそいえることだ。
教師の説明が少ない授業は、外国では当たり前になっている。ニュージーランド、オランダ等がそのお手本だ。だが、私たちが目指すのは、独自の授業の進化だ。子供たちに学校が楽しいと言ってくれる授業づくりだ。そのためには、新たな学習スタンダードの開発を続けよう。研究者も増やそう。
幸い、授業備品で私たちが行っていることは全国に伝わっている。名前を存じ上げない方から突然、メールでの質問や講師依頼がある。それだけ需要が多い。
こうした声に応えるのは、現在、学習スタンダードで学び方の研究を進めている先生たちだ。どうか、新たに学び方の研究を行う全国の学校へ力を貸そう。「日本新たな学び方研究開発ネットワーク」がその中心となるはずだ。
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