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「考える授業」は、習得型授業の延長として位置していると思う。これまでの基本事項を教師が教えることも覆る。子供たち同士が基本的なことを学び、相互説明や教え合い・学び合い、活動などを通じてお互いに理解していく。授業の最後には、まとめや振り返りを記述する。この考える授業は、子供たちに課題解決方法を委ねるので感動的な授業となり奥が深い学びとなる。
1 教えて考えさせる授業からの脱却
これまでは、基本事項は教師から共通に教えるものとされてきた。子どもたち同士がそこで得た知識や技能を使って教え合い・学び合い活動で理解をしていく。それは、問題解決的な学習や班学習等の中で行われ、理解されていく。これが当たり前とされてきた。ここに名人芸的な授業者が生まれた。
この方法では、子供たちがいつまでも教師の存在を意識する。真に子供が主体的な学びとはならないし、名人芸的な授業者も高い技術を得ることは出来ない。教師がいつまでも授業の主役になっているからだ。これを変えるには、「子供全員が活躍する授業」、「アクティブな授業」に還ることだ。教師が「教えて考えさせる」のではなく、子ども達が主体的に「考える」ように支援することが重要だ。
2 考える場面
一斉学習が主体の形態は、現在でも行われている。机自体が一人用であるので考える場は、一人学びの場である。いまだに、それが当たり前と考えている教師もいる。だが、学校の存在の意味から考えると、考える場は、子供たち同士が考お互いに考えを共有する時であるので、一斉学習の場だけではないことに気付くことだ。
① 仲間と対話をしながら考える(グループワーク)
まずは、自力解決からと考えがちだがグループワークから始めるのも一つの方法だ。これまで、問題解決的な学習の方法では、課題設定の後、「見通し」を立てて「自力解決」に入っていた。これが当たり前の問題解決的な学習方法ととらえていた。だが、学習が理解できない子にとっては苦痛な時間であった。
全員、課題解決が出来ない場合や、見通しが立たない場合は、グループワークを行う。この方法に学び、課題の難易度に関わらず、グループワークを行ってから(見通しを含めて)一人学びに入ると、子供たちはよく考えると思う。最初に自力解決ではなくグループワークから入ることをお勧めしたい。
② 全体で対話をしながら考える
定番の考察は、全体での挙手・指名・発表の場が多い。ここは、「分かる子だけの発表の場」「教師の腕の見せ所」という場になりやすい。これを解決するために、各班で話し合ったら、一つの班が全員に向かって情報を発信する。すなわち全体で対話をしながら考える場を設定した。これにより、気軽に全体で話し合う雰囲気が出来ると思う。
③ タブレットと対話をしながら考える
タブレットを使用することで未知の学びに入ることが出来る。タブレットは、仲間とのチャットの場であり、全員の考えを瞬時に受け止めることが出来る場だ。この意味からタブレットとの対話は、完全な個人学習ではない。画面を通して、子供同士が情報を共有し合い考える場なのだ。
④ 自力解決時に考える
自力解決は、授業の最後の場であってもよいことは、グループワークで述べた。一人で考えられるのは、課題の解決が出来る時だ。まずは、分からないことを仲間に聞き、ノートを写したり、教師からヒントをもらったりしてから自力解決は入った方がよいと思う。
3 自力解決は問題解決的な学習の段階で柔軟に扱う
外国の「学び方」を多く学ぶと、学び方には型がないことが分かった。私たちも笑顔いっぱいの子供たちの学び合いを見ると、柔軟な問題解決方法がよいことに行き着いた。これまで学習スタンダードの開発を行ってきたが、改めてそれは基準であることも気付いた。解決活動の柔軟化を目指すとよい。
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