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令和3年1月26日、中央教育審議会で出された「個別最適で協働的な学び」。主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)があれば十分と考えていたが、「個別最適で協働的な学び」が出された。ICT環境の整備が整ったからであろう。「主体的・対話的で深い学び」は、アクティブ・ラーニング(子どもが動く学び方)の学び方。「個別最適で協働的な学び」は、タブレットを主にした個に応じた学び方。いずれも、豊かな学び方の方法が増えた。私たちが行ってきたアクティブ・ラーニングと違う学び方を目指すものではない。
ICT環境の整備が整い、タブレットに向かう子どもたちが増えた。令和の日本型教育の学び方だ。だが、タブレットに向かう子どもたちが増えたが課題もある。一斉学習のようなICT教育、タブレットで個別に学ぶのはよいが、仲間との学び合いが弱い。タブレットの操作は堪能だが、単なる個の学びとなっている。これらは「問題解決的な学習の中で培われるべき学び合いのダイナミックな姿」が出来切っていないからだと思う。また、ICTによる授業であっても教師だけが進める一斉授業が依然として混在している。子どもたちには、理解学習となりやすい。聞くだけの授業となり、豊かな音声言語も出にくい。独り言(内省言語)も出ない。だから、学年が進行しても、「単語で伝え合う授業」が延々と続く。
神奈川県のN中学校の数学の時間が終わってもまだ続けたいという生徒を見た。また、高知県のO小学校の学習リーダーがいる学びでは、先生の話を理解するより楽しいという子どもを見た。O小学校の毎月の学習づくり集会では、全学級が子どもたちに授業を公開し、より一層みんなで新しい授業を生み出そうとする子どもたちがいた。タブレット操作の学びもあったが、いずれも子どもたちの顔が輝き、会話が弾む授業であった。
だからこそ、子どもたち全員が発言し、それぞれがもてる知識を構造化していく重要な場面は、アクティブ・ラーニングの時だけではなく、タブレットを使う学びの中でも構築していく必要がある。
「個別最適で協働的な学び」の説明の中で、「学習の個性化」(子ども側)で教材や学習方法を選択するや、指導の個性化(教師側)で理解度に合わせた教材提供と個別に学習する時間の確保を学んだ。そこで一斉学習を減らし、子どもたちが自由にどこで誰と何を学ぶかの保証をする。そのために、「ICT教育環境を整える」「個別に学ぶ学習時間を設定する」「学習スタンダードのように仲間と学び合う機会を引き続き設定する」「新たな学習を行うためのツールやソースを用意する」等が教師だけでなく、あらゆる関係者に求められている。
個に応じた指導は、子どもの学習の状況を瞬時にパソコンの中で子どもの状況把握はできる。同一学年・学級だけでなく異学年の学び(神奈川N中)。ICTの活用により他の学校と学び合う(高知県K小とS小)。こうした学び方が無限大に出てくると思う。
そのためには、教科教育を前面に出すことだけではなく、子どもたちが「学び方」を多く身に付ける機会を設定するのが、令和の日本型学校教育を支えていくことになるのではないだろうか。
1 個別最適な学びと協働的な学びの実践校(関東T小、令和6年10月中旬、2年算数「さんかくやしかくの形を調べよう、新しい学びを支える教師の役割を考える」
(1)「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実 個別的な学びは、子ども個々が課題に対して自分に合った方法で追究する姿。協働的な学びは、友達と自分の考えを比べている姿。
(2)手だて
①個別最適な学び
ア課題の把握
イ自分の考えや友達の考えを共有し深める
ウ振り返りで自分の学びにする
*自分の考えを表す方法はタブレット、ホワイトボード、ノートに書いたものを送る
*自分に合った学び方は、学びやすい場所、一緒に課題を解決できる仲間を選ぶ、
学習過程の中でどの課題を選択するかの意思表示カードを提出
②協働的な学び
アめあてや学習課題が2案あるので選択、本時のゴールの選択
イ自然発生的なグループに集合
③対話的で協働的な学び
ア聞きに行く
イホワイトボードやオクリンクを示す
(3)教師の役割
教える立場ではなく、学びを支える立場
①単元を通しての学習課題や学習環境の整備
②子ども同士の考えをつなげる役割
ア教師が子ども理解度の把握
イ分からない子へ分かる子の支援の依頼
③支援を要する子への指導
ア一斉授業では出来なかった子への個別指導
イ将来は子供同士に任せる
(4)展開
本時(8/10時間目)
目標:方眼を利用した長方形、正方形、直角三角形のかき方を、方眼の仕組みや図形の性質に着目して考え、作図することができる。
授業観察の観点
Q : 教師の役割は適切であったか。
主体的・対話的な深い学びができていたか。(本時において深い学びとはなにか)
*You Tube "Intel Presents-Project Bridge" をご覧ください。2012年のアメリカではすでに完成したICT活用の授業が見えます。(西留)
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