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執筆者の写真西留安雄

授業備品 NO.266(2024.11.25)「複線型の学び」

PDF版(クリックで表示されます。)


 複線型の学びは、従来の直線型の問題解決の段階を踏む形式に対し、学び方の道筋が複数に分かれる。子ども一人ひとり(学び手)が学習課題に自分で判断し、調べたりまとめたりして、相手に自分の考えを伝える。協働的な活動を自分に合う適切な場所を選び、学習をしていく学び方である。このモデルは、個々の子どもが自分の興味や能力に応じて学びを進められるよう、柔軟で多様な学びの形を提供するものとなる。この複線型の学びは、探究的な学びやキャリア教育とも深く結びついている。今後の学び方の一つとなるだろう。

 複線型の学びは、ほとんどが個別学習である。タブレット等で①学習課題の選択 ②子どもの個別的な解決活動 ③個同士や自然発生的なグループで交流(子どもの自然体のアウトプット)し自分の言葉で考えを書く。他者の考えを比較分類する中で不足項目を補う ④まとめを共有 ⑤練習問題 (AIドリル)の学習経路をとる。これまでの単線的な(従来型)問題解決的な学習過程と同じような段階を踏む。個別の学びが中心となる学びだ。

 このモデルビデオは、265号youtu.be  Intel Presents-project Bridgeをご覧いただきたい。この学びは、タブレット等のICTによる学びが豊かにならなければ複線的な学びとはならない。ある程度、タブレットの学びが充実した学校は、複線的な学びの充実に向かっている。なお、個別最適で協働的な学びも、ゆくゆくの姿はこの複線的な学びになるだろう。自由進度別学習も複線型の学びだと思う。


複線型の学びが指導計画に反映するための指標

  子どもの具体的な学びの姿が数値に出て、指導計画に反映されているかどうかを議論する必要がある。授業改善に大いに役立つ。具体的な評価例を芝園小学校の実践から学ぼう。この学校では、複線型授業に特化した評価項目を子どもや教師のどちらかが強いかを判断するために設定している。学習課題、学習過程、学習形態の3項目である。

①学習課題(学習課題は、自分自身が興味関心をもったことなど自分で課題を決めていく(自分で選択) 

②学習過程は、情報を収集し、整理分析し、まとめ、それを発信していく

③学習形態は、一人で学ぶのか、それとも誰かと一緒に学ぶのか、それを自分で決めていく

 これら3項目は、指導計画作成の中で、自己決定の度合いを決定するためである。


 複線的な学びの成果と課題

 子どもたちがひたすらタブレットやパソコンに向かう。特に、ICTの得意な子どもたちにとって自分で進められるのでより一層学びに向かうことができる。だが、学びが苦手な子を、このICTによる手法の学び方で本当に救えることができるだろうか。学校は、「仲間から教わり、仲間に教える場」だ。この点を考え複線型の学びの構築にあたることが重要だと思う。


単線的な学び

 単線型とは、現在の学びの形(授業スタイル)である。すなわち、全ての子どもが同じカリキュラムを同じペースで学ぶ。学年が上がるにしたがって難易度が上がっていく。単線型の学びでは、子ども全員が同じ学習課題(めあて)解決に向かって進み、同じ評価基準で評価される。このモデルは、一定の学力水準を確保するという点で有効である。だが、子どもの多様性や個々の興味、得意分野を十分に尊重できないという課題がある。

 単線型の学び(教師が中心にいる一斉学習的な学び)は、一斉学習が中心で学習課題や見通しを確認→教師の指示によりタブレット学習や協働学習→教師が中心にいる考察→教師が中心にまとめをする→振り返りをする形式だ。私たちの「学習スタンダード」は、単線的な学びだが、一斉学習形式を極力減らし、協働的な学びの形式で学習過程を創り上げてきた。子どもたちは、タブレット学習に移行しながらも協働的な学びで学習課題の解決方法を身に着けている。「学び方」の習得も出来ている。基礎基本学習では、従来の一斉指導型も並行して行い、学力の向上も図っている。このスタンダード型の学びは、すべての学び方の基盤である。単線型であっても、この学びを常に真ん中におこう。


異学年交流型学び(単線型の学び)

 複線型の学びは、ICTによる学びだ。だが、同一学年同一指導で学ぶ内容からの抜けきれない面がある。それを補うのが異学年交流型学びだ。全校数学授業、複式学級での異学年合同授業等もここに当たる。小規模校を経験してきた教師は、異学年交流型学びの良さを熟知していると思う。

 令和6年11月末の高知県越知小学校の456年合同体育の授業が参考になる。

ある参加者の感想

~授業の一つにセルフ授業があり、はじめから終わりまでを子どもたちだけで進める。学年をクロスオーバーして開催されたらどうなるか。それを4年、5年、6年がやるというので参観した。各学年をバラバラに10名前後でひとチームを形成。5時間枠の体育(あるいは総合の学習の一環のひと単元(単元名:越知オリンピック)。一時間だけの試みじゃない。子どもたちのアイディアをくみながら若い先生方が中心に練られた。まさに、異学年交流のセルフ授業。学習リーダーがいろいろな学年のいるチームを引っ張っている。~

評価

①教師はしゃべっていないか

②自分たちで進めているか

③学習リーダーが活躍しているか

判定は◎10 

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