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セルフ授業は、単に子どもたちに授業の進行・司会等を任せるのではない。誤解されるのは、子どもたちが授業を進行できるだろうか? 教科内容の基礎基本を習得できるだろうか? 教師の専門性を生かせないのではないか? 学力が低下するのではないか?等、従来の指導者側の考え方から抜けきれないことだ。
私たちは、教師の教えすぎを防ぎ、子どもたちが主体的に学ぶことや個別的な学びを育成するためにセルフ授業を行ってきた。その成果は計り知れないものとなっている。授業の進行や司会を任せることができるため、学力の向上が難しい子への対応ができるようになった。学級が崩れることも少なくなった。今回は、セルフ授業を行う前に教師が行うこと、セルフ授業時の立ち位置等をご紹介したい。
ガソリンスタンドでは、セルフ給油が当たり前。スーパーのセルフ会計も当たり前。セルフ授業は、こうしたことを意識した訳ではない。授業でも、「セルフ」を意識していただきたい。
1 学習指導要領の再認識
・平成29年 主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング(学び方)
・令和7~9年ころ「個別最適な学習」と「協働的な学び」等の「学び方」を身に付ける内容を予想。
「自主的な学習力」の推進が学習指導要領に記載か?
2 セルフ授業前の指導する内容
①全教師、全授業で学習リーダーの育成
ア.司会力 イ.対話力 ウ.質問力 エ.話し合う力 オ.記録する力等を付けることが徹底されることだ。全教師でこの5つの力を意識して指導するとよい。特にオの記録する力は、地道にやっていかないと簡単にはつかない。5つの力がつけば、学習する力や学級力の向上につながり、ある程度期待できる授業に行き着く。
②学習リーダーの役割を確認
ア. 授業の進行
イ. タイムマネジメント
ウ. 話し合いのコーディネート
エ. 教師との打ち合わせ
オ. 事前学習(教材研究・予習)
カ. ヒント出し(中学生)
キ. 専門官との打ち合わせ(中学生)等
3 セルフ授業前に子どもが学び方の習得
①「司会進行表(司会原稿)」で学習リーダー(司会)の経験
②問題解決学習過程 学習スタンダードに記載
③7つの考察方法(校内で2つ程度共有)
ア. ゼミナール形式考察方法(備品95号)
イ. 班集合型考察方法(備品237号)
ウ. 3色マーカー考察方法(備品101号)
エ. 3人班→個人→6人班考察→ワールドカフェ→6人班考察(備品227号)
オ. ワールドカフェ考察方法(備品46号)
カ. ICT考察(個別・協働、備品206、250号)
キ.少ない一斉学習考察(備品198号)
④板書方法 学習スタンダードに記載。課題とまとめの一体化。
⑤資料や教材・ワークシートの作成 教師が作成する資料やワークシート・教材作成に積極的に関わる。
⑥ICT環境の整備 子どもたちがICTを使いこなせるようになっている状況であることを教師が認識する。
4 セルフ授業時の指導者の立ち位置
①机間指導に専念
セルフ授業が行われると、教師は子どもたちの学びの状況把握に専念できる。ここが一番重要で、学習に向かえない子どもの指導を重視する。ICTでは、瞬時に子どもたちの学びの進行度を把握できる。
②学習リーダーの進行状況の把握
学習リーダーに授業の進行を任せるが、展開がうまくいかない場合や今後どのように進行しているかを常に確認する必要がある。Y大付属中では、授業の自力解決時や終了後に廊下で学習リーダーと打ち合わせを行っている。ほめる場合が多い。
③授業評価3項目を教師自ら評価
ア. 学習課題(子どもが選択可能か?)
イ. 学習8段階過程は出来ているか?
ウ. 学習形態は、一人?誰かと?
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