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授業備品 NO.272(2025.2.24)「生徒」を主語にした授業づくり

執筆者の写真: 西留安雄西留安雄

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「生徒」を主語にした授業づくり  和歌山 宮本氏執筆


 令和7年1月29日、神奈川県N中で開催された「授業祭」に参加した。前年度、高知県室戸市で開催された「第4回高知授業づくり研究会・自主研修会」において、N中の授業づくりの中心となっている二人の中堅教員の実践発表を聞き、夜の懇親会で二人との教育談議に花が咲いて、ぜひN中の実践を直に見てみたいと思い、2年越しでようやく願いが叶った。

 N中では、西留氏のアドバイスによる「教えない授業」の実践に取り組んで6年目。一定のレベルまで到達した授業での生徒たちの姿を見ることができた。その実践の柱は、「Nスタンダード(スマートレッスン)の徹底」「深い学びにつながる学習プロセス」「教師の支援の工夫」の3つである。1年目の「黒板グッズの統一」「学習リーダーによる授業展開」に始まり、毎年度バージョンアップを繰り返し、全教師での実践、生徒の授業反省会、セルフ授業の追求、Nスタンダード(スマートレッスン)の充実、そして今年度の「NGSWプロジェクト」とステップアップしてきたことを、「授業祭」での生徒たちの学ぶ姿を通して垣間見ることができた。

 この日は、全公開授業(8クラス)、総括教諭の焦点授業(第1学年数学科)、研究授業と生徒による授業反省会(第1学年社会科、第1学年美術科)、全体会を1日かけて参観した。その中でも、現時点での最高レベルといえる焦点授業について考察してみた。注目すべきことは、単元計画(マナフリシート)を生徒たちに配布することで生徒たちに単元の中での主体的な学びに見通しを持たせること、板書グッズを全校統一で使って本時の学びを視覚化すること、教科リーダーが本時で使うキーワードを示すこと、指導案にはピクトグラムを使うこと、教科リーダーを育成して司会力・進行力をつけさせることで生徒たちに「授業力」をつけさせること、課題や問いを教師と生徒たちが協働して作成すること、問題解決学習の学習過程を柔軟化して生徒たちが自分で選択した様々な授業形態で学習を進めること(個別最適な学びにもつながる)、生徒個人での課題解決が困難な時や自分とは違う考えを得る必要があるときなどに教室を自由に歩き回ってヒントを得る時間(ぶらぶらタイム)の確保していることなどである。なお、今回の研究授業後に実施された授業改善のための生徒たちによるワークショップ(今回は第1学年の研究授業であったため、第2学年の数名の生徒たちがファシリテートしていた)は、生徒を主語にした授業づくりを継承し、学年を越えて学び合うことに発展させていく上で重要なものである。

 さて、あらためて総括教諭による授業実践を詳細に考察する。「指導略案」を参照しながら、授業の流れをポイントとなる写真と共に、成果点に※、課題点に☆、改善点に★を付して解説していく。


【授業前】

 教科リーダーが「課題」「問い」「キーワード」を板書し、他の生徒たちは板書を自分のノートに書き写す。大型モニターには、「問い」を詳しく説明するためのプレゼンテーションを提示し、生徒個人のタブレットPCにも配信している。


【導入】

1 前時のまとめと振り返りをペアで説明し合う。

※本時につながる前時の学習内容を、言葉や身振り手振りで伝え合う。このことで、生徒全員が前時の学習をB評価に到達させた上で、本時の学習に向かわせるようとしている。


【展開】

2 今日の問いを確認する。

3 今日の課題を教科リーダーから発表する。

4 今日のまとめの書き出しをクラスで考える。

5 キーワード「距離」「Bluetoothの電波」「場所」を確認する。

 ※当校では、2~5を声出し確認することで見通しを持たせている。

★6年間の実践の実績があるので1回の声出し確認で十分だと思われるが、第1学年の初期には、数回繰り返して声出し確認することで、本時の展開がスムーズになるだろう。


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