授業備品 NO.275(2025.5.5)「スタンダードの原点」
- 西留安雄
- 6月24日
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授業スタンダードとは、「教師だけでなく子どもも、一定の授業形式の中で問題解決学習の展開を図る学習過程」のことである。いわゆる授業展開の一定の型はあるが、そこから柔軟に自分の教科のスタイルの形に変えていくことを目指したものである。型にとらわれる学習過程ではいない。また、子ども自身が授業づくりに参加を促すことを開発するためものである。
最近、授業の研究協議会で「〇〇スタンダードは、よくない」というご意見をお聞きした。よく聞けば、授業は、教師の自由な指導方法の中で行われるものであるので、型にはまったような方法は間違えているとのこと。また、これまでの教科教育の指導方法が大切にされるべきであるとの意見をいただいた。こうした意見を聞くたびに、これでは、何も変わらない教科指導があることに気付かされることが多い。
1 授業の実際
年間、多くの授業を見る。相変わらず従来からの知識習得学習や、教師の独演会スタイルの授業が多いことに気付く。学習指導要領には、子どもが主体的な授業をと記述されているが、そうした授業を見ることは少ない。一斉指導、挙手・指名・発表スタイル等が多く、教師のコントロールの中で授業が進行する。とりわけ、学校種が高くなるほどそうした傾向が多い。一部の子ども達のみその指導についていけるが、多くの子たちは、やがてついていけなくなる。
そうした授業と離れ、子ども全員活躍型の授業も出てきたが、まだまだ少ない。授業に子どもたちが満足しているかどうかを確かめ、新たな授業スタイルを求めていく教師の姿勢が重要である。
2 学習スタンダードの誕生
各教師、各教科指導方法による展開がばらばらであった。子どもたちは教師の指導技術に左右された。そこで初期の学習スタンダード過程は、「Ⅰ導入(学習過程の提示)、Ⅱ展開(学習活動・学習形態の工夫)、Ⅲ終末(学習の実現状況の確認)、Ⅳ全体を通して」の4活動を全教科で取り入れた。だが、教師の自己流の授業実践が見られたため、1単位時間の授業展開の細分化を図った。Ⅰ見通し(①課題の提示②問いを持つ(問いの共有)③学習課題の設定)、Ⅱ解決活動(④自力解決⑤集団解決)、Ⅲまとめ(⑥まとめ)、Ⅳ振り返り(⑦振り返り)の7段階の1単位時間内の学習過程(学習時間の配分)を行った。
プログラム学習のようになっているのでどの教師も基本形に沿うような授業を行うことが出来た。この時期から、教室内に教師より子どもの声が響くようになり協働的な学びが出来るようになった。この7つの学習過程が教師だけでなく子どもたちにも身に付いたのはこの時期だ。子どもが主体的な授業に変わっていった。
3 進化型学習スタンダードへ発展
アクティブラーニング(ワールドカフェのように動く)や協働的な学び(次期学習指導要領)の影響もあるが、初期の学習スタンダードでは、班で学び、少人数等で学ぶことが少なかった。そこで、進化型学習スタンダードでは、分からない子は初期から分からないので最初から「相談して次の学びへ」を中心にした学習過程を取り入れた。個別最適な学びもあり、子どもたちが自由に自分で課題や班を選択して学ぶようにした。特に学び合いが
一斉指導ではなく、班で最初から最後まで完結するように学習過程にした。子ども達は、全体で集まることも少なくなり、和気あいあいの中で学べるようになった。思わぬ良さも出た。保健室登が減り、授業中に違うことをする子もいなくなった。
4 指導経験値に合わせる学習スタンダード
学習スタンダードは、指導経験値に合わせるように作られている。初任校で授業スタンダードを学んで来なかった教師には、初期の学習スタンダードから入ってもらい、2~3月もしたら進化型学習スタンダードを習得していただくようにした。これにより、教師のかつての授業観(教師中心の話す型の授業)が減った。
私たちは、従来型の授業(知識伝達型)では、子どもたちはついてこないと考えている。教師中心の教科教育はいまだになくならい。この解決が学習スタンダードによる授業と確信している。具体的な学び方を掲載してあるので、ぜひ、「西留安雄の受業実践」から、学習スタンダードを取り入れていただきたい。
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