第7章 児童生徒が創る校内研究
1 生徒が創る校内研究システム
「いつも実行委員が中心になり動いていますが、今回は班長、道徳係もファシリテーターの役割をします。これまで班長やリーダーと、動き方の打ち合わせをしてきました。通常は実行委員が中心となりやっていることを班長や道徳係も行うように計画しました。実行委員が見本を示し、班長が実際授業の中でも動ける練習をしました。だから班長も自分毎のように伝えられるようになっています。道徳委員だけでなく実行委員も班長も動く力をつけています。」、これは生徒の歓迎の言葉だ。ここにそれぞれの役割を見出すことが出来る。
生徒が創る授業は、問題解決的な学習(授業スタンダード)が出来ていることが必須の条件である。生徒が授業を創るためには、課題設定から班学習やまとめ、振り返り等の学習方法をマスターしておかなければならない。
(1) 実行委員会
各学級から選出された、授業づくり実行委員が学年にいる。学年実行委員の中から選出された実行委員長。さらに学年を超え、校内全体実行委員会があり、実行委員長もいる。
学年実行員会は、研究授業の開催の時は、学級を超えた会合を数回持ち、学年全体の公開授業に備える。学校全体会では、授業改善の進み具合等を確認する。
これらは、これまでの教師の校内研究組織と似ている。特徴的のことは生徒の中に授業改善組織があることは画期的なことだ。特別活動の委員会活動と似ている。また、部活動と同様、各教科が部活動のような組織ともいえる。中1の学年実行員が書いた授業紹介ポスターが参考になる。
(2) 教科リーダー(ファシリテーター)
2名の教科係がいる。授業の進行、板書役、ヒント出しを担う。必要に応じて、「教科スペシャリスト」を登場させる。授業前の教師との打ち合わせが重要となる。予習で「キーワード」
(3) 班長(ファシリテーター)
班の進行役。全員参加を心がける。必ず、大ホワイトボードを使用する。
2 児童が創る校内研究システム
全国の学校の例だが、校内研究発表会で「児童が司会・進行」「ねらいを発表」「自分たちの思いを発表」等、これまでの教師主体を変えている。全国的には難しいが、すでに実践校では行われている。
私たちは長い間、教師だけの発表会を行ってきており、子供の成長につながる発表を見落としていた。授業改革や教育改革も子供が参加してこそ可能となる。教師、大人主体の授業改革を至急見直すことが求められている。
(1) 児童が創る授業改革システム
①授業創り実行委員会(3年生以上)
3年生以上の授業改革の実行委員会である。ここが中心となり授業で取り組
理論等をまとめる。また、授業評価の方法や、研究発表会での仕方をまとめる
中央委員会だ。
②教科リーダー委員会(3年生以上) 各学級で教科毎の教科リーダーを選出し
授業の司会進行、リーダー授業台本、板書、教科用語の事前選出、教科内容の
事前学習等を行う。
③セルフ授業大会 全学級でセルフ授業を行い、全児童が集合し、各学級の振り返りを行う。年度初めは、転任してきた教師や1年生に「授業の進め方」を授業公開。
④学級力新聞 授業改善の基になっているのは学級力だ。毎月、学級力のアンケートを取り各学級の基盤を創る。
⑤ノートコンクール委員会 タブレットが進化しても、ノートづくりは重要である。
(2) 7リーダー(高知県越知小学校)
4年生が発案した。7教科の教科リーダーが集合し、授業の組み立てを行っていた。
教師が代休で休めるように教科リーダーが中心となり動いていた。話を聞くと、
「①クラゲチャート」を使って仲間に授業内容を伝えました。その内容は②資料をまず自分
が勉強し、仲間に配布する資料を作りました。③資料から分かったことをみんなに短
冊に書いてもらいました。④みんなで発表をし合いました。⑤いろいろな意見が出ま
した。⑥考察の時の中心の課題は、「伝統を守りながら新たな器づくり」です。⑦みんな発表をしてくれたので嬉しいです。⑧進行表を作りました(台本)。青色はみんながノートに書くこと。赤色は課題やリーダーが疑問に思いみんなに伝えること。緑はタイムスケジュール。茶色はみんなが発表しやすいようにペアで組むことです。」
担任は、学習リーダーに「アドバイス」をして授業を任せた。学習リーダーは、家に帰って予習や資料の作成、授業台本を作成してきた。教科リーダーとして徹底的に勉強をした。みんなの鏡になるようにした。自分のやることを分かりやすくするために、クラゲチャートや表を作りみんなに分かりやすいようにした。」と説明した。7教科のリーダーの一人「7リーダー」の活躍はすごい!
(3) 子供が校内研究(授業)を担う
私たち教師の校内研究は、教師だけで行うものではなく、子供たちが予習をして教科リーダーの基に学習を進めることに「舵を切る」時だと思う。教師の授業の腕前を見せるのではなく、子供たちの主体的な進行を支援することに変える時期だと思う。個別最適や協働的な学びの研究の前に、改めて「子供が進める主体的な授業」とは何かを考えて欲しい。このことが今後の教育課題になることは間違いない。
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