top of page

授業備品 NO.320(2026.10.7) 児童・生徒(子ども)と教師が共催する校内(学習)研修

執筆者の写真: 西留安雄
西留安雄
12 分前
読了時間: 7分

PDF版(クリックで表示されます。)


 これまでの校内研修は、教師だけで研究したことを、子どもたちに「試す」ことが主であった。子どもが主体的とする学習指導要領の視点に立つと、教師だけの校内研修が異質に見える。最近見た授業でも、教師が一生懸命教材研究をしたことを基に授業を行っていた。事後の研究協議会も、教師だけで評価を行った。評価の視点は、①主体的 ②対話的 ③深い学びの3点。授業は従来型の教師主導であるのに、この評価の視点は学習指導要領向き。授業と評価項目の違いに違和感を持った。

 これが、校内研修や授業の現状であろう。私の訪問校では、教師だけで校内研修を進めていない。「児童・生徒(子ども)校内研修委員会」を立ち上げ、「教師の校内研修委員会」と共催をして学習(授業)研究を行っている学校がある。子ども校内研修委員会は、授業を子どもが自分事ととらえ、主体的に授業(学習)づくりを行っている。教師だけの「目」より、子どもを含めた学校全体で見るので成果も多い。これまで子どもが教師の研修会に参加することは予想も出来なかったが、これからは、子どもが主体的な校内研修となることが常識になると思う。


1 子ども校内研修の中心となる3つの柱

(1)学習スタンダード

 子どもたちの学習は、学習スタンダード(問題解決的な学習の詳細の場面)が中心となる。校内研究も、この学習スタンダードは教師だけのものではない。子どもと共有することで、教師と子どもが同じ方向を向いて授業づくりを進めることが出来る。

原型 問題・資料→気づき→課題→見通し(キーワード)→3人班(解き方の共有)→自力→ペア・班→考察→まとめ→振り返り


(2)学習リーダー

 学習指導要領に「自主的、自発的な学習が促されるように工夫する」とある。ここが学習リーダーの原点である。学習の進行にあたっては、学習リーダーが担う。司会、進行、板書、ヒント出し等が主となる。


(3)学習評価会

 「自己評価・相互評価」が中心となる。そこから発展し、これまでの教師の研究協議会だけではなく、子ども参加型の評価会となる。自己評価では、「自他の学習への向かい方」の評価をする。それを全体会では数値を出し評価を行う。


2 研究組織

(1) 教師の校内研修

これまでの教科主体の校内研究だ。子ども主体の授業を目指すが、多くは教師満足で終わる。学習指導要領のねらいを目指すが、従来の教師主導の授業と変わらない。教師だけの指導案研究、長時間をかけての研究協議会、研究冊子の作成や研究発表会は教師だけの参加。子ども主体の研究会、そのものに気がつかないのだ。そこで次のような運営を行うとよい。


①子ども学習(教科)リーダー会

 各教科・領域を進行する教科別の学習リーダーが集合する会だ。各教科の学習過程や学習略案(学習指導案)、学習進行表の確認をする。また、板書方法やキーワードの作成を調整する。さらに、学習リーダー会が単発の授業研修だけでなく、年に数回の学習会(研究授業発表会)を体育祭や合唱祭と同じように開催する。

②子ども班長会

 各学級で大よその人数を決め、班を構成する。特に決まった人数はない。その中で、班長を決め、班の考えをまとめていく。学習リーダーは、その班長を集め、学び方を指示していく。また、学級や学年を越え学ぶ時の進行役にもなる。


③学習評価に参加

 これまでの研究授業は、教師だけで授業を評価していた。これを、学習リーダー会や班長会に任せる。当日は、視点に沿って評価を付箋紙で行い、短時間のうちに意見をまとめ、結果を学習した学級に伝える。参加した教師は、成果・課題・方策の視点で付箋紙に記入して模造紙に貼る。子どもとの交流は行わない。


④子どもへのメッセージ作成とまとめ

 学習研究会(研究授業)に参加していただいた先生から、付箋紙で感想をいただく。その意見をカテゴリーで分け、模造紙等に貼り掲示する。子どもたちには、励ましの言葉となるとともに学習意欲へつながる。

⑤補習会

 教師は多忙で1年を通した補修会を行うことはできない。そこで学習リーダーや班長が中心となり、補習会を開く。担当は、教師と打ち合わせを行い、補習プリントを作成し実施する。また、教科の得意な仲間に分からないところを聞く「質問会」も設定する。なお、中間考査や全国学調では校内全体に平均点を公開し、次への対策を練る。


3 公開授業の開催と進行

①公開授業(学習)全体会の進行

 子どもたちを様々な場面で育てていないと教師が前に出てしまう。授業も同じで子どもに任せきれない、普段から育成していないことが如実に出る。そこで、子どもたちが学習の進行をするために、担当教師との打ち合わせや学習進行表を作成し公開学習(授業)の進行を担う。


②公開授業全体会での挨拶

 挨拶は、教師が行うことが多い。教師の場合は、それなりにまとめることが出来るが、聞き手には、「あ、そうか」で終わる。子どもたちが行うと、自分たちで体験したことを自分の言葉で話すことが出来る。子どもの「そのまま」の気持ちや感情を出せる。もちろん、担当教師との打ち合わせを行い、「挨拶文」を作成することは必須である。校内の様々な場面で子どもに挨拶を任せることにより、一層、多くの活動で全面に出てくる。

③公開(学習)授業の評価

 学校全体で授業を公開する場合は、各学級での授業の振り返りにとどまらず、全員が会場に集まり振り返りを行うとよい。各学級で各自が振り返りをし、それを会場に持って行く。会場では、学級を2分割にし、1~5項目の評価を行い、数値化を図る。全校で集約し、傾向を確認する。評価項目が「見通し」であれば、「できたかどうか」ではなく、「主体的に出来たか」の基準で評価をする。この評価は、すでに授業備品に記述してあるので、そちらを参考にしていただきたい。


④案内板の作成や掲示

 これまでの研究発表会では、案内板や大看板等は教頭先生や教師だけで作成していた。これも子ども主体ではなく、教師主体であった。子どもたちが研究に向かう時、案内板や掲示物は作成することが出来ることに気付いた。子どもたちの「学習部」が行うとよい。

 研究に関わることや補習等の内容の掲示物は、子どもの学習部が行うことで、従来の掲示物より内容が充実する。見た目を気にする必要はない。子どもたちが行っていれば工夫をすることに気づくはずだ。



4 校内研究の説明

 来校者への説明は、教師が行うことが多い。教師だけの研究としているからだ。目指すは、子ども主体の研究会であるので、子どもたちが学んだことを説明するとよい。子どもたちには自分事となる。教師は、子どもたちの発表で不十分な内容や、ファシリテーターとして工夫したことを補充発表するとよい。

 保護者には、なぜ子ども主体の授業かを説明するとよい。保護者の学習活動への理解が進む。そして、校内研究発表会は、保護者も参加も出来るようにする。教師と保護者を分ける必要はない。

 これまでの小中連携は、校内研究に位置付け、小中で授業公開を行ってきた学校が多い。だが、効果があったかどうかは疑問だ。連携のための教育課程を作成しても教師主体の授業があるからだ。そこで、子どもたち主体の学習(授業)が出来るように、小中の子ども間の交流を中心とする。学習スタンダード・学習リーダー・動く授業・子ども学習評価会を中心にした交流になるとよい。


5 研究冊子の作成

 教師主体で作成の研究発表会資料は、教師用語が多い。そのため難解な記述が多い。持ち帰った資料を家で読み返すことは少ない。

 そこで研究発表会の資料は教師主体とせず、子ども主体で作成する。表紙作成から始まり、学習活動略案・取り組んだ内容等へと続く。子どもたち全体で作成するので自分事のようにとらえて発表会へと向かう。訪問校では、多くの学校で取り組み始めたがそうした学校はまだ少ない。学習指導要領の趣旨である「子ども主体」ならば、研究紀要もそうあって欲しい。


6 学習活動略案(学習指導案)

 学習指導案は、多くの時間を使い作成している。ページ数も多い。多彩な内容となっている。だが作成者本人も分からないような内容の記述もある。これまで何となく作成してきた経過があるからだ。教師向けに作成すると、その日で使われ終わりとなる。子どもたちが読んでも分からない。

 学習活動略案は、教師の教科指導案と同じような内容だが大きな違いがある。仲間に読んでもらっても分かる学習活動進行表だからだ。

①単元計画の作成

②板書グッズ

③キーワード

④ピクトグラム(学習の流れ) 

⑤本時の振り返り

等を掲載している。公開授業に参加する保護者・他学級の仲間・教師にも分かりやすい。子どもが作成する学習活動略案には、時間はかかるがぜひ行っていただきたい。次号に具体的に記載するので参考にされるとよい。

コメント


Copyright 2019 Nishidome Yasuo All Rights Reserved.

bottom of page